病院や薬などの医療費自己負担額は、通常1割から3割の負担ですが、生活保護受給者は全額免除されているので0円です。
これは受給者の医療費全額を福祉事務所が代わりに支払っているからです。
さて、今回おかしいと思った事案は、受給者本人または親族が宝くじや保険金などの高額な収入が発生したのを理由に生活保護を打ち切られた場合です。
生活保護は、受給者の申し出によっての一方的な打ち切りは出来ないようになっていて、あくまで福祉事務所が6ヶ月間生活に支障がないと判断した場合に打ち切りが決定されます。
この廃止日は実際にお金を手にした時では無く、翌月の1日が廃止日となります。
例えば、受給者が7月5日に宝くじに当たった場合、翌月の8月1日が生活保護廃止日で、その決定通知は更に後に送付されます。
(これは地域や事務所、案件によって異なります)
このようなケースの場合、「生活保護法第63条:費用返還義務」によって、収入が発生した日から起算して、受け取った生活保護費を福祉事務所に返納しなければなりません。
上記例では、7月5日から7月末日までの日割り分と、入金済みの8月分全額が返納額となり、通知書が届いた後に支払います。
ここからが本題で、ここで問題となるのが医療費です。
生活保護受給者は、全員必ず国民健康保険から除外されています。
国民健康保険法によって定める資格が無い為です。
と言う事は、生活保護受給中の医療費は10割の全額負担だったと言うことです。
生活保護費を返納する場合、この間の医療費は丸々10割計算で返納しないといけないのです。
上記例の場合の国民健康保険の再加入は、生活保護廃止日である8月1日からになるので、7月5日から7月31日までの間は国保に未加入の状態となっています。
仮に運悪くこの間に大事故やガンの治療などで高額の医療費が発生したら、高齢者であっても1割負担とはならず、10割の全額負担となり、それを全額福祉事務所に返納しなければならないのです。
これってどう考えても制度としておかしくないでしょうか?
国民健康保険法によって国保に入るのは国民の義務となっていますが、7月5日に収入が発生たのを理由に廃止をするのであれば、その日を廃止日にすれば国保に再加入してるハズで、そうすれば医療費は1割負担で済んだのです。
廃止日が8月1日になったのは、お国の手続きやら審査やらのせいであって、受給者の問題ではありません。
この義務であるハズの国保には入れず、生活保護の対象でも無い謎の空白期間は一体何なのでしょうか。
1割負担で50万円かかる医療費だった場合、なんと500万円も支払わないといけないのですよ?
100万円なら1000万・・・
これではせっかくの収入もパーです。
実際にこうしたケースやクレームはネット検索しても結構目にするので、決してレアなケースでは無いです。
なので、生活保護受給者が金を手にした場合、事故は起こすな!とも言われる程です。
これについて福祉事務所に問い合わせたら、それら返納金も考慮して残金で6ヶ月間の生活に問題が無いと判断された場合に廃止できるのであって、収入があっても計算して残金が無い場合は廃止できないとの事。
また、残金が無くなった場合は、生活保護に再度加入すれば良いとの事でした。
ん〜、それって本末転倒じゃないの?と思いましたが、福祉事務所の人も「変ですよねぇ」とは言ったものの、「法律でそうなっているから従ってるだけ」なんだそうです。
苦情があるなら、「法改正に向けて国民で声を上げるなど努力するしかありません」とも言われました。
この問題、宝くじで1億とか6億とか当たった人なら痛くも無い問題だろうけど、そうした金額云々の話では無くて、生活保護法と国民健康保険法の狭間にある謎の空白期間は、制度上の欠陥で納得の行かない問題であり、正に縦割り行政というかお役所仕事だなぁと思いました。
【たわ言の最新記事】
せめて受給を開始する時、このことに関してちゃんと説明すべきですよね。
現実に今直面して、打撃を受けている者です。
障害年金を遡及して貰える見込みができたのですが。4月と6月に受けた手術の医療費10割…たぶん約600万円を返す必要があるとのこと。
結局生活保護を抜け出せない…
それにしても10割って… それを知っていればヤミ金融からでも借金して、生活保護受けずに国民健康保険抜けなければよかったです。。
東日本大震災に被災して生活保護を受けている方が、住居跡地が売れたとたん、かかった医療費10割分数百万の返還義務が生じていると、先程何かで読みました。
縦割り行政の影響が大きい部分であり、アベノミクスとかの前に早急に一本化して欲しいところです。
私も以前、同様の空白期間が出来てしまい、厚労省のとある担当者へ納得いく説明を求めたところ
「こういった事態が発生する可能性があることは、予めCWから説明があったはず。例え説明がなかったとしても、法律を知らなかった、は通用されない。国民はそういった事案も考慮して『生活保護申請をしない』という選択肢もある。とのことでした。」
生活保護を申請しないという選択をするということは、まさしく飢え死にしてください、と言ってるも同様で私は言葉を失いましたが、続けてこの事案に対してどう考えか?と質問したところ
「今後国会等で議論されることと思います・・・」
と口ごもっていました。
この問題について議論される政党はないものか、と思っているこの頃です。
本当に自立できるかどうか過去6カ月にわたって様子をみる。ということですが、保護廃止までの就労中の6カ月は10割負担で返納になるのですよね。
その間に医療機関にかかったら、万単位の請求が後でくる。
市役所の人は「窓口での負担はありません」
といい、
その後に「数カ月後、10割の医療費の返納書が届きます」
と説明してもいいのではないかと思います。
そう説明したってその人の懐から1円も減らないのですし、後あとの受給者から「この返納額は何だ?」っていうようなトラブルも避けられます。
働くにあたり、どういったリスクが伴うのか生活保護開始前と就労開始前に説明した方が、後あとの事を考えれば、市役所員も楽だと思うんですけれど。
ただ、市役所員も生活保護全てを知っている訳ではなく、「この返納なんだ?」の質問があって始めて調べて「こういう訳です」となり、前もっての説明ができないのではないかという気もします。
生活保護のシステムが一度入ったら抜けられないという、廃止を阻止しているような気がしてなりません。
そして、受給者は世間には叩かれますし。